銀行の人事部と聞くと「エリート」、「出世コース」と思う方は多くいるかもしれません。どこの企業においても人事は重要であるため、人事部には優秀な方が多く所属する印象ですが、特に銀行においては、1番と言っていいほど優秀な人材が集まる部署となります。
銀行の人事部がエリートコースであることは理解しているとは言え、人事部の業務についてはなかなかイメージが湧かないのではないでしょうか。
今回は、銀行の人事部の業務をご紹介するとともに、なぜ人事部がエリートコースであるのか、についてもご紹介したいと思います。
1. 人事部の業務内容
人事部の業務内容は大きく分けて3つの業務に分類できます。
(1)社員の人事異動を考える業務、(2)採用業務、(3)人事制度等を考える企画業務です。以下で詳しくご紹介させていただきます。
(1) 人事異動
「社員の人事異動を考え・決定する」人事部における最も重要な業務と言えるかと思います。銀行は、具体的な”商品”を持っていないため、人材の重要性は言うまでもありません。人材を適材適所に配置して、各社員の能力を最大限発揮できるようにすることが、人事部の重要な業務となります。
ほぼ毎月人事異動がある銀行にとって、人事異動に関する業務は重要であると同時に、多忙を極めます。
この業務を担当する人事部の担当者は、日頃より各拠点長と連絡を取り、社員の人事希望や人事異動のタイミングを認識しながら、最適な人事異動を考えます。
各社員の適正、本人の希望を踏まえながら、適切なタイミングで異動を実現していく業務となります。社員一人一人の人生に影響する業務なので、責任は重いですが、同時に大変やりがいのある業務です。
(2) 採用業務
人材が会社の業績を大きく左右する銀行において、採用業務も特に重要な業務です。新卒採用、中途採用を含め、採用業務も人事部における重要な業務と言えます。
特に新卒採用で多くの人材を確保するのが銀行の特徴であり、新卒採用の時期は、個別に採用担当者を増やし優秀な人材の獲得に努めています。この時期は、半年から1年間だけ採用業務を手伝う社員もおり、そのような社員は就活生にとって、魅力的に見える必要があり、優秀な社員が選ばれている印象があります。
採用業務を担当したことがある社員は、社内でもエリートとして考えれています。
また、近年は、中途採用にも力を入れている銀行も多くあります。今までは年間の全採用者における中途採用者の占める割合は5%程度でしたが、近年はかなり割合が高まっています。中途採用は、銀行のカルチャーにうまく馴染めるかも見極める必要があるので、新卒採用とは違った難しいがあるのではないかと思います。
(3) 企画業務
人事制度を考える企画業務も銀行においてなくてはならない業務です。働いている社員の満足度をいかに高められるかが重要となります。
福利厚生や、地方転勤や海外赴任における制度設計も担っており、安心して働ける環境・制度を整えることが重要となります。
最近は、「リスキリング」への取り組みも銀行内で進んでおり、各種研修制度が充実しています。オンライン大学の無料受講や、外部研修への無料派遣等、さまざまな研修制度が整えられており、主体的に自己研鑽を取り組む銀行員にとっては、充実したコンテンツが揃えられています。
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2. なぜ人事部は出世コースなのか
(1) 銀行は人事が全て
金融と言う商品を扱い、”もの”のない銀行においては、人材が他社、他行との差別化を図る最重要事項となります。だからこそ、社員を適材適所に配置する人事部の業務は、銀行内の業務においても、とても重要度が高い業務となります。
社員の特徴や希望を理解し、適材適所に配置することで、企業として最大限のパフォーマンスを発揮することができます。人材配置、人事異動がうまく行かないと、職場でもモチベーションの低下や退職者の増加など、企業の存続を脅かしかねない事象が発生することとなります。
(2) 権限が強い
人事部が出世コースと言える理由としては、人事部の権限の強さも挙げられるかと思います。人事権を有している部署ということで、当然ながら部署としての存在感はずば抜けています。
人事部の担当者は、年次的にはまだ中堅社員であっても、各支店の支店長や各部の部長と社員の人事について協議をします。人事権においては、支店長・部長より上の立場であり、かなり強い権力を持っていることがわかるかと思います。
一方、社員一人一人の人生を預かっている部署でもあり、それだけ責任も大きい部署となります。
また、一度人事部を経験した社員は、その後も人事部との繋がりが維持されることが多くあります。人事部経験者が拠点長になった際には、部下の人事異動が希望通りになりやすい傾向があります。
(3) 役員にも人事部経験者が多い
役員に人事部経験者が多いことも、人事部がエリートコースである証明ではないかと思います。
キャリアの大半を人事畑で歩み人事業務を統括する役員もいますが、それ以外の役割の役員でも人事部を経験した方は多くいます。それだけ人事の業務は重要であることがわかるかと思います。
また、支店長や拠点長になる前に人事を経験するというパターンも多く見受けられます。人事部は出世の登竜門と言えるのではないかと思います。
3. 人事部で働く方法
(1) 人事異動で勝ち取る
メガバンクの人事部で働くための一番王道な方法は、人事異動において人事部への異動を勝ち取ることでしょうか。
銀行の人事は、実力のみならず異動のタイミングを含めた運に左右されるので、絶対人事部へ異動できるということではありません。
ただ、今いる部署で認められ、人事部への異動希望を出すことで異動が叶う可能性もあります。
(2) 人事のプロとしてキャリア採用で入社する
人事異動以外の方法としては、人事のプロとしてキャリア採用で銀行に入社することでしょう。
キャリア採用であれば採用の時点で配属部署が決まっていることが大半なので、人事部への配属を前提とした採用も可能となります。
キャリア採用の場合は、人事業務についての深い知見が必要となります。従業員の雇用関連に関する知識や、評価方法の知識、組織文化の構築などの深い知見が必要となります。
銀行は人事部の力が強い特徴があるので、人事のプロの方にとっては意外にやりがいのある環境であるかもしれません。
まとめ
今回は、銀行においてエリートコースと言われる人事部の業務についてご紹介させていただきました。
人事部の業務内容は大きく分けて(1)社員の人事異動を考える業務、(2)採用業務、(3)人事制度等を考える企画業務、があり、どの業務も銀行にとってはなくてはならない業務です。
金融というものではない商品を扱う銀行だからこそ、社員の人材配置や採用を行う人事部の存在は、より重要となっている面もあるかと思います。
少しでもご参考になれば幸いです。