日本からは地球の裏側にあたるブラジル。日本から行く場合には、どこの国を経由するにしても、ロングフライトを2本乗る必要があり、日本からは一番遠方となる駐在地ではないでしょうか。(アクセスの良し悪しにより、ブラジルより時間がかかる駐在地もあるかもしれません。)
一方、成熟した日系人社会から生まれる心地よさ、ブラジル国民の明るさや温かさからブラジルの虜になる駐在員の方が多くいるのも事実です。
今回は、ブラジルの首都サンパウロの駐在生活についてご紹介させていただきます。
1. ブラジルの一般情報
(1) 基本情報
国名 | ブラジル連邦共和国 |
首都 | ブラジリア |
人口 | 約2億947万人 |
国土面積 | 851.2平方km |
大統領 | ボルソナロ大統領 |
公用語 | ポルトガル語 |
宗教 | カトリック、プロテスタント、無宗教 |
通貨 | レアル |
日本との時差 | 日本 −12時間 |
日本からのフライト | 直行便なし。アメリカ、欧州経由が良く利用される |
(2) 滞在している日本人数
外務省の公表データによると、在留邦人数は51,307名となっています。また、日系人は200万人を上回ると言われています。
日系人の方が多くいる州は、サンパウロ州と南部のパラナ州が挙げられ、パラナ州では州都のクリチバをはじめ、ロンドリーナ、マリンガに多くの日系人が居住しています。
(3) 英語の普及状況
英語の普及率は決して高くはありません。日常生活においては、公用語であるポルトガル語が使用されることが一般的です。
英語の普及率のイメージとしては、外国人の方が日本で生活するのと同じレベルではないかと思います。高級なレストランやホテルであれば基本的には英語が通じる一方、ファミリーレストランやファストフード店などでは、お店に一人英語を話せる店員さんがいるかどうかといったイメージになります。
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(2) 駐在の魅力
(1) 日系人社会
ブラジル赴任における一番の魅力は、世界最大の日系人社会の存在ではないかと思います。
ブラジルに移民した日本人の方々が築きあげてくれた日本ブランドのお陰で、ブラジルの多くの方は日本人に対する敬意を持ってくれており、駐在する日本人にとっても大変住みやすい環境となっています。
また、日本食レストランや日本の雑貨店なども多くあり、以前は日本人街と呼ばれていたサンパウロのリベルダージ(現在は、日本人以外のアジア人も増えてきたこともあり、東洋人街と呼ばれています。)には、日本と同じような居酒屋や昭和の香りがするカラオケ店が軒を連ねています。
日本人にとっては、まるで第二の故郷のように感じられる国であり、駐在期間終了後もブラジルの魅力を忘れられずに、永住しに戻る方がいるのも納得ができます。
(2) 多様性に富んだ国民
ブラジルは日本人の他にも、イタリア人やドイツ人、ウクライナ人等の移民がおり、ブラジル人のもともとの人種は、たいへん多様性に富んだものとなっています。
アメリカと同様、「人種のるつぼ」と呼べる国です。
駐在員としてブラジルで生活をしていても、容姿において日系ブラジル人の方と違いがないこともあり、差別をされるようなことは一切ありません。外国人だからといって、嫌な目で見られることもなく、大変生活しやすい国となっております。
また、ブラジル人の方は、基本的には明るく前向きな方が多いことも魅力と言えます。
(3) 食文化
ブラジリアン・バーベキューとも言われるシュラスコをはじめ、日本人の口にも合うブラジル料理は豊富にあります。
また、移民が多いことから、日本料理をはじめ、イタリア料理、ドイツ料理等、各国の食事を楽しめることも魅力として挙げられます。
料理以外にも、アルコール飲料が豊富にあり、サトウキビから作られる蒸留酒であるカシャーサはブラジルのアルコール飲料として有名です。
有名なブラジル料理、飲料としては、下記が挙げられます。
- シュラスコ(Churrasco):
ブラジル式のバーベキュー。シュラスコのお店では、串に刺したお肉を持った店員が席に回ってきて、好みの部位を好きな量だけ食べることができる。ブラジルの家には、必ずと言っていいほど、シュラスコを作れるバーベキュー設備が設置されている。
※日本語ではシュラスコと発音することが多いですが、ブラジルではシュハスコと発音します。 - フェイジョアーダ(Feijoada):
黒豆とお肉をに煮込んだ伝統的な料理。カレーのようにご飯にかけて食べることが多い。お肉は多様な部位が使われ、豚足や尻尾などが用いられる。レストランでは好きなお肉の部位のみ注文することができる。日本人駐在員の中でも好みが分かれる料理。 - ムケッカ(Moqueca):
北東部のバイーア州の郷土料理であり、魚介類をココナッツミルクで煮込み、ニンニクやトマト、玉ねぎなどの野菜を加えた料理。 - カイピリーニャ(Caipirinha):
カシャーサをベースに作られるブラジルのカクテル。カシャーサにフルーツ、砂糖、氷を加えて作る。フルーツはライムが使用されることが一般的であるが、いちごやキウイなども使用される。カシャーサの代わりに日本酒を用いて作る、酒ピリーニャもブラジルでは存在する。
3. 現地生活の実態
(1) 医療
日系人が多くいるため、日本語が通じる病院があり、駐在員にとっても安心できます。
現地で出産をする駐在員家族の方も多くいらっしゃいます。蛇足ですが、ブラジルは出生地主義の国であるため、ブラジルで生まれた子供はブラジル国籍を有することになります。
(2) 観光地
ブラジルは日本の20倍を超える国土を有しており、観光資源も豊富にあります。各地域に魅力的な観光地があり、現地に駐在していてもまわりきれないほどです。
特に、大自然が魅力的な観光地が多くあり、アルゼンチンとの国境にあるイグアスの滝や世界最長の川であるアマゾン川などが人気の観光地として挙げられます。
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(3) 治安
治安はやはり不安な要素として挙げられます。サンパウロにおいても、日中の大通りであればさほど危険は感じないかもしれませんが、夜や裏路地等は危険を感じることもあります。
車に乗っていても、強盗に襲われることもあり、日系企業の駐在員の方は防弾車を利用しているケースも多くあります。
また、「ブラジルでは赤信号で止まらない」と言われることがありますが、夜間などは本当に赤信号で止まることがなく、左右を確認してそのまま進むか、信号手前から徐行をして青に変わるのを待ったりします。
これも自分自身の身を守る術となっております。
まとめ
今回は、南米ブラジルの駐在生活について、魅力や生活実態について書かせていただきました。
ブラジルは、物理的な距離は日本から1番離れていますが、日系人社会が形成されており、心理的には日本から1番近い国ではないかと思います。
多様な国民性がありながら、共通して温かい国民性であり、駐在員の方にも大変馴染みやすい国ではないかと思います。また、広大な国土を有していることから、地域により特徴が異なり、同じ国の中でも全く異なる文化や雰囲気を味わうことができます。
日本からの距離や治安面の不安など難しい部分はありますが、魅力的な駐在地の一つではないかと思います。ブラジル駐在を予定されている方、ブラジル駐在を目指している方の参考になれば幸いです。