30代になり、銀行員としての将来が見え始め、転職を検討し始めている銀行員の方は多くいると思います。
一方、今まで銀行内での希望部署は考えてきたものの、基本的には人事部にキャリアの決定権を委ねていたこともあり、いざ転職活動となっても何から始めていいかわからない方も多いのではないでしょうか。
今回は、初めての転職の手引きということで、転職を思い立った時に、まずやるべきことをご紹介させていただきます。
1. 経験業務の棚卸しして職務経歴書を作成する
(1) 経験業務の棚卸し
銀行員としてのキャリアを振り返り、今までやってきた業務の棚卸しをしましょう。
① 4つの軸で棚卸しをする
棚卸しをする際は、得意な業務、苦手な業務、好きな業務、嫌いな業務の4つの軸を意識して棚卸しをするといいと思います。
得意な業務⇄苦手な業務、好きな業務⇄嫌いな業務は相反しますが、得意だけど嫌いな業務、苦手だけど好きな業務はあり得るので、そのあたりを明確にすると、転職先で何がやりたいかがより明確になると思います。
例えば自分の場合ですと、以下のような感じでした。
得意だけど嫌いな業務:単純作業
単純作業を早く回すのは結構得意なのですが、その業務が好きなわけではありません。
苦手だけど好きな業務:営業
口頭で説明するのが苦手で、よく意味がわからないといわれるのですが、営業でお客さんと会うのは好きでした。
このように、得意・苦手、好き・嫌いをしっかり分けて考えることが重要となります。
② やってきたことをポジティブに捉える
銀行員の場合、異動回数が多いからか、ついつい他の人のキュリアが青い芝に見えてしまいます。
ずっと営業のポジションだった人からすると、人事や企画、ITシステム等、他のキャリアを歩んだ人は幅広い業務を経験していて、羨ましく思うかもしれません。
一方、複数の業務を経験してきた人からすると、幅広く薄い業務知識があるだけのように感じ、ずっと営業のポジションの人に対して、営業という絶対的な強みがあることを羨ましく思うかもしれません。
誰でもキャリアは一つです。
自分のキャリアに自信を持ち、前向きに考えることが必要かと思います。
③ 自分の唯一無二のキャリアを前向きに捉える
銀行員としてキャリアを築いてきた以上、必ず自身自身の強みがあります。歩んできたキャリアは捉え方によって大きく変わります。歩んできたキャリアを前向きな言葉に変換しましょう。
- 営業しか経験がない → 営業は完璧にできる
- 異動ばかりで専門性がない → 幅広い業務を経験
- 営業以外で経験した業務は、半年間手伝った人事の採用業務のみ → 営業に強みを有しながら、採用の経験もある
前向きに捉えることで、強みとなり転職におけるアピール材料となります。
(2) 職務経歴書の作成
キャリアの棚卸しをしたら、実際に職務経歴書を作成してみましょう。
職務経歴書を実際に書くことで、頭が整理されより洗練されたキャリアの棚卸しをすることができます。
また、職務経歴書を書くことで、自分の強みの伝え方、歩んできたキャリアの伝え方も明確になります。
2. 転職エージェントを活用する
(1) エージェントを活用する
経験業務の棚卸し、職務履歴書を作成したら、考えをブラッシュアップするため、転職エージェントの力を借りましょう。
転職エージェントは、転職サポートのプロです。自分の気付いていない強みや、向いている職種を明確にする手伝いをしてくれます。
(2) ヘッドハンターと接点をとる
転職エージェントのビズリーチによると、転職成功者の多くが、5名以上のヘッドハンターと関係を作っているとのことです。
ヘッドハンターは、人それぞれ相性があること、ヘッドハンターごとにキャリアの考え方が異なること、把握している求人案件が異なることから、可能な限り複数のヘッドハンターとコンタクトを取った方が良いと思います。なるべく多くの転職エージェント、ヘッドハンターとコンタクトを取り、転職を成功させましょう。
3. 転職活動における心得
(1) 譲れない条件の明確化と絞り込み
転職活動において、転職先に求める条件を明確にすることが重要です。まずは、思い付く条件を書き出してみましょう。
例えば以下のような条件が挙げられると思います。
- ワークライフバランスがとりやすい
- フレックスタイム制を利用できる
- 在宅勤務ができる
- 転勤がない
- 裁量が大きい
- 英語力を活かせる
- 海外赴任の可能性がある
- 年収UPが見込める
① 条件の絞り込み
条件を書き出したら、自分の中での優先順位をつけましょう。
転職関連の本を読むと、条件は1つにするべき、3つに絞るべき等、色々な意見がありますが、個人的には必要条件と十分条件に分けて考えるのがいいと思います。
例えば、共働きの子持ちの方であれば、勤務時間に融通が効くよう、フレックスタイム制の利用が必須条件かもしれません。
また、家族の事情などで転勤をしたくないということであれば、転勤なしが条件となるかもしれません。
希望する条件の中で、まず最初に必要条件を明確にしましょう。
必要条件を明確にした後に、十分条件の優先順位をつけていくといいかと思います。ただ、十分条件は必須条件とは違い、0か100ではないので、この条件は良いけど、この条件はちょっとという場合でも、バランスを見ながら見極めていくことが重要かと思います。
(2) どんなに優秀でも落ちることを知ろう
30代の転職は、十分可能ですが、特に30代後半になると、条件にあった転職先がすんなり見つかるとは限りません。30代の合格率は、概ね20%と言われており、選考を通過できなかった場合も、いちいち落ち込むのではなく、そのくらいの確率なんだと割り切りましょう。
(3) 長期化に備える
上記の通り、うまく条件にあった転職先が見つかり、内定を獲得できるかは分からないので、長期的なスタンスで転職活動に挑むのが良いかと思います。
その上で、必要となることは、今の業務も真面目に取り組む、今の仕事を辞めない、ということかと思います。
どうせ転職するからと今の業務を真面目に取り組まないと、万が一転職が決まらず、今の会社で続ける選択をした場合に苦しい立場となってしまいます。
また、基本的には今の仕事は辞めずに転職活動を実施した方が良いかと思います。仕事を辞めてしまうと、転職活動に焦りが生じて、条件に納得していなくてもしょうがなく転職をするということになる恐れがあります。
精神的に疲れた場合等は、仕事を辞める選択もOKだと思いますが、転職活動に専念するからと、今の会社を辞めることはあまりおすすめできません。
まとめ
今回は、初めての転職の手引きということで、転職を考え始めた時に、まず実施すべきことについて書かせていただきました。
初めての転職で不安も多いと思いますが、キャリアの棚卸しをすること、ヘッドハンターの話を実際に聞いてみることで、今後のキャリアについて、新しい視点で考えられるのではないかと思います。
もし、このまま銀行員でいることに悩んでいるなら、一歩踏み出してみましょう。
少しでも参考になれば幸いです。